3年太陽による水の暖まり方
〜黒紙が水を温める?〜
 
 3年生の理科に太陽の光で水を温める教材があります。教科書や『理科ノート』では下のような教具がのっています。

 
20分で31度
 
20分で31度
 
 しかし、これでは外の黒紙は暖かくなっても水が暖まるとは考えにくいのです。そこで予備実験をしてみたところ(10月16日)10分から15分日光に当てていても案の定、当てていないものと比べてほとんど変わりませんでした。もちろん黒い紙が日光をよく吸収することを学習するものではありませんから、間違いではないのでしょうが・・・・。そういう考え方が嫌いなのです。これだけを見たら、だれでも「黒い紙は日光をよく吸収する学習」と思ってしまいます。
 そこで、次のような改良を加えたところ、まずまずの結果を
得ました。



 20分後  31度
 
日光が当たる方を切る

  20分後  34度
 
 それにしても、『理科ノート』の解説書を見てもこの指摘はありませんでした。確かに、黒い紙で覆った場合のデータは載せてありますが、黒い紙は温度の上昇とは基本的に関係がありません。これは不親切です。(著者は気がついているのかもしれないが、)名古屋のほとんどの小学校が採用しているのですからもう少し丁寧に作る必要があるのではないでしょうか。ほかにも3年生では「子葉」「葉」が使われ4年生では「ふたば」「本葉」が使われているということがありました。(私の指摘でだと思いますが、訂正がきました。) ほぼ独占状態にある『理科ノート』が、こんなことではいけません。
 余談ですが10年前に私も執筆に加わりました。その時の新教材であった「ものの動き」ではおもりや振り子の糸、砂を入れる袋、棒の結び方についてずいぶん実験を繰り返したことを思い出しました。つりに興味がなかったわたしもつり道具屋に通い詰めて素材を探したものです。
 現場の教師だからこそできる細かい配慮がうたい文句でありながら、独占がもたらす弊害がでてきたのでしょうか。公費で買えるようになった現在(子供や親からみると無料です。)「安さ」は売り物にはなりません。そろそろ競争の原理の中で勝負すべき時期ではないでしょうか。

教材開発、実験開発へもどる